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腹腔鏡下大腸切除術~体腔内吻合法について~


久留米大学外科学講座 主任教授 藤田 文彦先生による「腹腔鏡下大腸切除術~体腔内吻合法について~」のプレゼンテーションです。

【目次】
0:11~ 大腸癌の腹腔鏡手術について
1:16~ 大腸手術体腔内吻合の問題点について
1:34~ 体腔内吻合の有用性について
6:47~ ベストな吻合方法について
10:48~ 体腔内吻合の適応について
12:31~ 実際の体腔内縫合の様子(動画)

【概要文】
腹腔鏡下大腸切除術では、根治性と安全性を担保するため、体外で吻合を行うことが一般的です。
しかし、体腔内での吻合することで創を小さくすることができます。藤田先生らはReduced Incision Surgeryを選択することで、これまでの手術の流れと大きく変えることなく整容性を追求しています。

大腸手術の体腔内吻合の問題点は、大きく次の2つが挙げられます。
・腸管内容物による腹腔内汚染
・体腔内吻合の煩雑性

これらの問題点の観点から、体腔内吻合の有用性について、複数の文献を提示し、解説していただきました。
いずれの論文でも腹腔内吻合の有用性は示されましたが、一部の論文では「経験を積んだ術者が適応を考慮して行うことが必要」とも結論付けられています。

2015年には韓国よりロボットによる体腔内吻合の有用性に関する論文が発表されました。
この論文によると、脾彎曲部寄りの横行結腸がん3例に対する手術では、脱転操作が少なく、ロボットにより容易に縫合できたとのことです。

また、体腔内吻合と体外吻合の比較試験では、腹腔内吻合の方が術後の回復がよいという結果が複数の論文から得られています。

これらの論文の内容をまとめると、腹腔内吻合は整容性がよいという利点がある一方、手術の難度が上がるという欠点が明らかになりました。
一方、腫瘍の部位や手術適応、在院日数については議論の余地があると藤田先生はおっしゃっています。

さらに、藤田先生はベストな吻合方法についても解説してくださっています。
順蠕動と逆蠕動いずれの縫合がよいか、一層縫合と二層縫合いずれの方法が良いかについて複数の論文の結果を提示してくださいました。
これらの結果から、順蠕動で二層縫合を行うことが基本であると藤田先生はおっしゃっています。

体腔内吻合の適応症例について、藤田先生らは以下の症例としています。
・良性疾患
・EMR後の追加切除症例
・cSMまでの結腸癌

この理由について、藤田先生らが行った検討の内容を示してくださっています。

腹腔内吻合は患者さんへの負担を小さくすることが期待できる手術方法です。
吻合方法や適応症例については議論の余地がありますが、これらの問題が解決されれば一般的に行われる術式になるかもしれません。

こちらの動画により、体腔内吻合の有用性や吻合方法の選択について、理解を深めていただけると思います。
今後の診療の参考にぜひご活用ください。