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小児尿路感染症と関連する泌尿器疾患とその管理 Part1


関西医科大学附属病院 小児科学講座 教授 金子 一成 先生によるプレゼンテーションになります。

【目次】
00:17~ 講演内容の紹介
00:42~ 小児の路感染症の特徴
03:33~ 小児尿路感染症の分類と症状
05:04~ 小児尿路感染症の起因菌
05:29~ 小児の尿路感染症の診断
07:35~ 小児の尿路感染症の診断の治療

【概要文】
尿路感染症(UTI)は、細菌感染であることが多く、多くは上行感染ですが、新生児期には血行性感染もあります。
UTIは小児において頻度の高い疾患ですが、自覚症状を的確に訴えられないために、熱の有無で判断して「有熱性尿路感染症」や「無熱性尿路感染症」と呼ぶことがあります。
有熱性UTIの乳児の1/3で膀胱尿管逆流(VUR)をはじめとする先天性腎尿路異常(CAKUT)の合併が見られ、幼児期以降の有熱性UTIの半数に排尿排便障害(BBD)が認められます。
VURやBBDは有熱性UTIの反復リスクであり、反復する有熱性UTIは末期腎不全の原因となります。

UTIの分類には、感染部位による分類と基礎疾患の有無による分類があります。
感染部位による分類は、上部UTI(≒有熱性UTI)と下部UTI(≒無熱性UTI)に分けられます。
基礎疾患の有無による分類は、基礎疾患が無ければ単純性UTI、基礎疾患があれば複雑性UTIと分けられます。複雑性UTIは再発が多いと言われています。
上部UTIは腎実質で炎症が生じるものの総称で、突然の高熱、CRP高値など炎症を示唆する所見を呈します。
一方、下部UTIは膀胱・尿道に限局したもので、臨床的に発熱を認めることは稀で、腎実質の障害をきたすこともありません。
 
小児尿路感染症の起因菌としては、大腸菌がよく知られています。基礎疾患を持たないUTIにおける起因菌の80%が大腸菌ですが、複雑性UTIの原因菌としては、大腸菌は50%程度で、複数細菌による症例もあります。複雑性UTIの場合、耐性菌関与も多く、再燃しやすいと言われています。

UTIの診断は、無菌的採取した細菌尿を培養することで、十分な数の細菌が確認することで行います。
排尿自律している小児では中間尿を採取しますが、そうでなければカテーテルで採尿します。
小児採尿バッグによる採尿は、検査精度が低いため、推奨されていません。
膿尿によるUTIの診断は感度・特異度ともに80%です。試験紙法による白血球エステラーゼ反応陽性や亜硝酸塩試験は感度が不十分であるため、積極的には利用しません。
小児UTIに対する治療は抗菌薬投与(点滴静注)が中心となります。
培養結果が得られるまでは、大腸菌を標的として行い、その後は培養結果に応じて、最も狭いスペクトラムの抗菌薬に変更します。
解熱が得られたら、経口抗菌薬に移行します。