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下部直腸癌に対する超低位前方切除術 Part4


広島大学病院 消化器・移植外科学 准教授 惠木浩之先生による「下部直腸癌に対する超低位前方切除術」のプレゼンテーションのPart4です。

【目次】
0:11~ 骨盤壁側筋膜に沿って入る神経を損傷しない手術の方法について(実例)続き

【概要文】
下部直腸癌に対する肛門温存手術(超低位前方切除術ULAR、内肛門括約筋切除術ISR)は一般的になりつつある一方、術後の肛門機能やQOLが良好とはいえない現状があります。
この点について、惠木先生はconventional ULAR(従来のULAR)、ISRに加えてmodified ULAR(肛門管内まで剥離してDST吻合する術式)の予後について、比較検討を行っていらっしゃいます。
調査内容は肛門内圧測定、Wexnerスコア、LARSスコア、EORTC-QLQC30です。

conventional ULARとISRの比較、modified ULARとISRの比較ではいずれも次の点でULARの方が有意差を持って良好という結果が得られています。
・最大静止圧
・最大随意収縮圧
・Wexnerスコア
・EORTC-QLQC30のRole(日常のレジャーや趣味を楽しめるか)

さらに、modified ULARとISRの比較ではEORTC-QLQC30のGlobal(総合的な評価)、Physical(体調、体力的な評価)についても有意差をもってULARがよいという結果になっています。
つまり、ULARの方が排便機能、QOLともに良い傾向にあるということです。

ただし、この結果から、ISRを否定するのではなく、患者にとって本当に良い術式の選択をすることが大切だと惠木先生はおっしゃっています。

肛門管括約筋間隙における神経支配については、いまだにわかっていません。
この点について検討した論文があるということとで、ご紹介いただきました。
肛門周囲の筋肉に対してはアウエルバッハの神経叢から入る神経と骨盤壁側筋膜に沿って入る神経が走行しており、アウエルバッハの神経叢由来の者は歯状線レベルで止まっているということです。
つまり、肛門機能を残すためには、骨盤壁側筋膜に沿って入る神経を損傷しないような手術が必要となります。

Part4ではPart3でご覧いただいた手術の続きをご覧いただけます。
ぜひご覧ください。