【目次】
00:12~ がん免疫療法の現状と展望
01:48~ がん免疫監視と免疫逃避
02:46~ がん免疫治療の変遷
03:19~ 免疫チェックポイント阻害剤
04:02~ がん免疫療法第4のがん治療へ!
04:18~ 免疫チェックポイント阻害剤
04:50~ 免疫チェックポイント阻害剤の特徴
05:47~ 悪性黒色腫に対する抗PD-1抗体
06:33~ 免疫チェックポイント阻害剤の課題
07:04~ 抗PD-1抗体のバイオマーカー
08:01~ バイオマーカーの開発
08:43~ 複合免疫療法の開発
09:27~ がんの免疫環境の違いによる治療法の選択
10:19~ 神奈川県立がんセンターの紹介
11:21~ がんワクチン・免疫センターでの臨床試験
12:13~ ペプチドワクチン療法の実際
13:14~ T細胞受容体(TCR)改変T細胞輸注療法
13:57~ 臨床研究所でのがん免疫研究
14:34~ 質量分析計解析を用いた個別化がん免疫療法の開発
【概要文】
癌免疫応答は細胞性免疫(T細胞)が中心です。癌細胞が免疫監視から抜け出す過程を癌免疫編集 (Cancer immunoediting) と呼び ①排除相:(免疫細胞が癌細胞を除去) ②平衡相(遺伝子不安定性・腫瘍不均一性で抗原性の低い癌細胞が出現) ③逃避相 (免疫抑制細胞・抑制因子等で免疫系から逃避した癌が進行) からなります。
ノーベル賞受賞の本庶佑先生が発見した「PD-1」を介した抑制作用でT細胞は癌細胞を攻撃できません。抗PD-1抗体はPD-1によるT細胞の抑制を解除し、T細胞が癌細胞を攻撃できるようにします。
免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は国内では抗CTLA4抗体(1種)と抗PD-1/PD-L1抗体(5種)が認可され、分子標的薬とは異なり、20−30%の患者でのみ有効ですが、その効果は長期間持続します(Tail Plateau)。ICIはPS不良例にも使える可能性がありますが、稀に重篤な副作用を起こします。
ICIが有効となる症例は遺伝子変異数が多い、腫瘍浸潤T細胞が多い(Inflamed/Hot)、PD-L1高発現である事が知られていますが、ICIの治療効果予測には不十分であり新規バイオマーカー探索が世界で行われています。またICIの治療効果を上げるため、分子標的薬や抗癌剤等との併用も試みられています(複合免疫療法)。
神奈川県立がんセンターではペプチドワクチン、遺伝子導入T細胞療法など様々な免疫療法の臨床試験が行われています。