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ガイドラインに沿った夜尿症診療~生活指導と薬物療法~ Part1


昭和大学横浜市北部病院 こどもセンター センター長 池田 裕一 先生によるプレゼンテーションPart1です。

【目次】
00:27~ 夜尿が治っていない子どもたち
01:27~ 夜尿症診療の歩み
03:44~ 夜尿症の分類
04:22~ 夜尿症の定義と罹患数
05:01~ 夜尿の頻度と有病率の推移
05:41~ 15歳以上の夜尿症の罹患率
06:15~ 夜尿症の治療期間と治癒率
06:52~ 昭和大学藤が丘病院の累積非治癒有病率
08:49~ 夜尿症診療の背景のまとめ

【概要文】
小児の夜尿症はおよそ6.3%と推計されており、そこから推算すると、宿泊行事を前にして夜尿が治っていない子どもの人数は25万人と考えられています。

ASD、ADHD、LDの罹患率は小児の約6.3%、アレルギー4大疾患は小児のおよそ1/3、そして夜尿症は小児の約6.4%が罹患しています。日本では平成16年6月に日本夜尿症学会から夜尿症診療のガイドラインが初めて発刊され、2016年に新たなガイドラインが作成されました。

夜尿症には、一次性と二次性があり、一次性の中には単一症候性と非単一症候性に分けられます。夜尿症の定義は「5歳を過ぎても月に1回以上の夜尿が3ヶ月以上続くもの」とされています。週3日未満の夜尿は年齢が上がるにつれて急速に改善され、週3~4日の夜尿は徐々に改善、毎晩続く夜尿は比較的長期間継続することが報告されています。15歳以上の夜尿症の罹患率は、平均すると200人に1人程度と言われています。

一方、夜尿症は治療介入をすることによって、有意に治癒率が上昇することが分かっています。昭和大学藤が丘病院の累積非治癒有病率を見ると、1年間の治療で48%の人が治癒、2年では69%、3年では88%の治癒となっています。
また、10歳以上と10歳未満で治療開始年齢によって治癒率を見ると、年齢が低い時から治療を開始することでより良い結果が得られるということが分かっています。
この原因として、服薬コンプライアンスの問題、高学年になると夜間の習い事などが増えることによって水分摂取などの生活指導がうまくいかない、といった社会的背景が考えられています。

夜尿症の診療の背景のまとめとしては、連日の夜尿は週二数回の夜尿に比較して治りづらいため、早期の治療開始を考慮する必要があること、10歳未満での治療開始と治癒を目指すことが重要であることが挙げられます。