前多小児科クリニック 院長 前多 治雄 先生によるプレゼンテーションになります。
【目次】
00:18~ ADHDの心理療法:ペアレントトレーニングの概要
01:24~ ペアレントトレーニングの理論と実例
04:33~ ADHDの薬物療法:メチルフェニデート(コンサータ®︎)
07:07~ メチルフェニデートの問題点
08:41~ ADHDの薬物療法:アトモキセチン
10:03~ アトモキセチンの問題点
【概要文】
ADHDの心理療法の一つに「ペアレントトレーニング(PT)」があります。発達障害児のみならず全ての子どもに有効です。保護者、教師が指導者になるため、生活の場で訓練することが出来ます。
PTの仕組みはとてもシンプルで、子どもの行動を3つに分けて、①増やしたい行動は褒める・相手をする、②減らしたい行動は無視する・相手をしない、③絶対に許せない行動はすぐに止める、と対応を決めます。
PTの理論は、誰もが持っている「人(特に好きな人)から注目されたい、構われたい」という気持ちに着目したものです。注目には2種類あり、肯定的な注目と否定的な注目がありますが、いずれにせよ最も怖いのは「無視されること」です。PTの基本は「子どもを褒めて導くこと」に尽きます。
ADHDには薬物療法もあります。メチルフェニデートがよく使われますが、これは即効性がある薬物で、「別人のよう」と言われるほどです。ただしいくつかの問題点があります。
およそ30%の患児は服薬を継続できないと言われており、服薬量を1mg/kgに近づけることで「食欲の低下」「気持ち悪さ」「イライラ」「寝られない、頭が痛い」などの問題が起こりやすくなるとされています。剤形がカプセルしかないため、ASD合併例などでは服薬継続を妨げていると考えられます。
効果持続時間はおよそ12時間であるため、夕食後は自己コントロールが低下することも問題となりがちです。チック・トゥレット症候群の増悪やてんかん発作を誘発するとも言われています。また、1ヶ月分しか処方できないため、こまめな通院が必要となります。
アトモキセチンも薬物療法で用いられる薬物です。効果発現まで4週間以上かかり、効果が最大となるのは8週以降と言われています。
メチルフェニデートと比較して、1日中効果が持続しており、副作用はあまりありません。シロップによる内服が可能なので、ASD併存例でカプセルでの内服が難しい場合も処方可能です。
また、処方期間の制限がないため、通院負担は軽減されます。
アトモキセチンの問題点としては、メチルフェニデート服薬経験のある患児には効き辛いこと、効果発現まで時間がかかることが挙げられます。
【目次】
00:18~ ADHDの心理療法:ペアレントトレーニングの概要
01:24~ ペアレントトレーニングの理論と実例
04:33~ ADHDの薬物療法:メチルフェニデート(コンサータ®︎)
07:07~ メチルフェニデートの問題点
08:41~ ADHDの薬物療法:アトモキセチン
10:03~ アトモキセチンの問題点
【概要文】
ADHDの心理療法の一つに「ペアレントトレーニング(PT)」があります。発達障害児のみならず全ての子どもに有効です。保護者、教師が指導者になるため、生活の場で訓練することが出来ます。
PTの仕組みはとてもシンプルで、子どもの行動を3つに分けて、①増やしたい行動は褒める・相手をする、②減らしたい行動は無視する・相手をしない、③絶対に許せない行動はすぐに止める、と対応を決めます。
PTの理論は、誰もが持っている「人(特に好きな人)から注目されたい、構われたい」という気持ちに着目したものです。注目には2種類あり、肯定的な注目と否定的な注目がありますが、いずれにせよ最も怖いのは「無視されること」です。PTの基本は「子どもを褒めて導くこと」に尽きます。
ADHDには薬物療法もあります。メチルフェニデートがよく使われますが、これは即効性がある薬物で、「別人のよう」と言われるほどです。ただしいくつかの問題点があります。
およそ30%の患児は服薬を継続できないと言われており、服薬量を1mg/kgに近づけることで「食欲の低下」「気持ち悪さ」「イライラ」「寝られない、頭が痛い」などの問題が起こりやすくなるとされています。剤形がカプセルしかないため、ASD合併例などでは服薬継続を妨げていると考えられます。
効果持続時間はおよそ12時間であるため、夕食後は自己コントロールが低下することも問題となりがちです。チック・トゥレット症候群の増悪やてんかん発作を誘発するとも言われています。また、1ヶ月分しか処方できないため、こまめな通院が必要となります。
アトモキセチンも薬物療法で用いられる薬物です。効果発現まで4週間以上かかり、効果が最大となるのは8週以降と言われています。
メチルフェニデートと比較して、1日中効果が持続しており、副作用はあまりありません。シロップによる内服が可能なので、ASD併存例でカプセルでの内服が難しい場合も処方可能です。
また、処方期間の制限がないため、通院負担は軽減されます。
アトモキセチンの問題点としては、メチルフェニデート服薬経験のある患児には効き辛いこと、効果発現まで時間がかかることが挙げられます。