小児疾患
多様性に富んだライソゾーム〜概要、診断のポイント、治療〜

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【目次】
00:25~ 講演内容の概略
01:12~ ライソゾーム病とは
02:31~ ライソゾーム病の種類
03:06~ 日本におけるライソゾーム病患者の統計
04:05~ ライソゾーム病の病因
04:39~ ライソゾーム病を疑う臨床症状
05:01~ ゴーシェ病の各病型の臨床症状の特徴
05:30~ ゴーシェ病患者臨床型の民族差
05:39~ ゴーシェ病(Ⅱ型・Ⅲ型)の神経症状
06:05~ 新生児型ゴーシェ病
06:17~ ゴーシェ病とパーキンソン病の関係
06:29~ 先天性ムコ多糖症
07:01~ 先天性ムコ多糖症の診断(日常診療で注意すべき初期症状)
07:28~ ライソゾームへのムコ多糖蓄積
07:49~ 人種によるムコ多糖症の分布の違い
08:30~ ムコ多糖症の分類
09:30~ ムコ多糖症の診断
09:53~ ライソゾーム病の治療
10:45~ 日本におけるムコ多糖症の造血幹細胞移植例
11:04~ 酵素補充療法
11:47~ ゴーシェ病患者の酵素治療の効果
12:02~ ムコ多糖症の中枢神経治療法
13:05~ 遺伝子治療

ライソゾーム病には現在60種以上の疾患が含まれており、これはライソゾームの酵素が遺伝的に欠損することで様々な病態が生じる疾患です。

日本におけるライソゾーム病患者の中で、最も多いのはムコ多糖症Ⅱ型(ハンター症候群)です。次いでファブリー病、ゴーシェ病と続きます。
全てのライソゾーム病の頻度は6000人に1人ですが、種類によって発症頻度には人種差があります。
ライソゾーム病の病因には、1)ライソゾーム酵素欠損 2)酵素蛋白の転写後の異常症 3)ライソゾーム膜蛋白転送異常症の3つが挙げられています。
ライソゾーム病を疑う臨床症状は多彩です。粗な顔貌、腹部膨満などの身体所見は重要です。

ライソゾーム病の1つであるゴーシェ病には3タイプの病型があり、神経症状が生じないものがType1、神経症状があるものがTypeⅡ、これらの中間がTypeⅢと分類されます。
ゴーシェ病患者臨床型の民族差を見ると、日本人ではTypeⅡ、TypeⅢが多いことが分かっています。
TypeⅡ、TypeⅢでみられる神経症状としては、発達遅滞、痙攣、筋緊張亢進、小脳失調、ミオクローヌスてんかんなど多彩な症状がみられます。
非常に重篤な新生児型ゴーシェ病もあり、この場合生後すぐ亡くなってしまうことが多いです。
また、ゴーシェ病の保因者はパーキンソン病になりやすいという結果が報告されています。

先天性ムコ多糖症を診断する上では、反復性中耳炎、特異的顔貌などの特徴的な所見に注意する必要があります。
酵素欠損によってムコ多糖症にはいくつかの種類がありますが、日本人ではⅡ型が最多です。
ムコ多糖症は、臨床的には7型に分類され、酵素欠損は11型に分けられますが、いずれもムコ多糖の分解に関する酵素の欠損によって生じます。

ムコ多糖症の診断では、特徴的な臨床症状の他、病理で白血球のAlder-Reily小体などを確認します。確定診断では、濾紙血、白血球などで酵素診断を行います。

ライソゾーム病の治療には、造血幹細胞移植(MPSⅠ、Ⅱ型に対して)の他、酵素補充療法、特に髄腔内・脳室内に酵素補充療法が行われています。低分子治療、シャペロン治療、遺伝子治療などもあります。
造血幹細胞移植は、特に日本ではⅡ型に対して実施が多くあります。早めに移植を行うことで神経障害を防ぐことができます。

ムコ多糖症の中枢神経治療では、酵素を直接髄注する方法と、BBB通過型酵素補充療法があります。早期に実施することで、認知障害を予防することも可能であると言われています。

遺伝子治療には、体内遺伝子治療と、体外遺伝子治療があります。ライソゾーム病に対する遺伝子治療は現在、臨床治験が進んでいる最中で、治療できる疾患へと徐々に変わってきています。