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緑内障が疑われたら ~検査・診断・治療を総ざらい~ Part2


北里大学病院 眼科 主任教授 庄司 信行先生によるプレゼンテーションPart2になります。

【目次】
00:12~ 緑内障の視野障害における見え方
04:13~ 急性閉塞隅角症(緑内障発作)の症状
05:35~ 緑内障診断のための検査
06:24~ 緑内障の診断
07:14~ 2つの視野検査(動的視野と静的視野)
08:51~ 眼底検査(OCT検査)と視野検査
09:31~ OCT(Optical coherence tomography)
10:35~ 緑内障の治療方針

【概要文】
視野異常の検査では、動的視野検査をおこないます。正常の場合、マリオット盲点(生理的に見えない部分)以外の視野は確保されていますが、緑内障が進行していくにしたがって、比較暗点(完全に見えないわけではない部分)が増えます。さらに進行すると比較暗点が絶対暗点(完全に見えない部分)となり、さらに欠けた視野が繋がって、全く見えない部分が生じます。末期になると、中心と耳側の一部のみが残る状態となります。
この様な「欠けた」視野状態でも、視力は良好です。中心部分が見えていれば視力は正常に計測されるためです。そのため、視野異常を自覚した時に多くの人が「眼鏡が合っていないのでは?」と考えます。眼鏡販売店に行って視力検査をすると、視力は正常に計測されるため、「ちょっと疲れただけかな」などと考えて緑内障の発見が遅れるケースが少なくありません。

視野障害では、視野が「欠損している」というよりも、「何となく見え方がおかしい」範囲が拡がる、といった見え方になります。完全に盲の部分にある物体は見えませんが、そこが欠けるわけではなく、脳の補正によって周囲の色とパターンが充填されて「見える」わけです。そのため、視野異常を自覚することは容易ではなく、日常生活においては非常に危険な状態が続きます。

急性閉塞隅角症(緑内障発作)では、急性発作の症状として、激しい眼痛や頭痛、嘔吐、霧視(かすみ眼)などが挙げられます。また、この様な症状が昔あって、すぐに治った(小発作)人に多いと言われています。また、遠視で「若い頃に目が良かった」という人にもよく見られます。

緑内障診断の検査としては、眼圧測定(病型・治療)、隅角測定(病型)、眼底検査(診断・病期)、視野検査(診断・病期)などを行います。必要であれば頭蓋内や全身の検索も行い、総合的に判断します。

緑内障と診断するためには、眼底所見(視神経乳頭・網膜神経線維層)と視野が対応することが必要です。つまり、眼底検査で下方の神経線維層の菲薄化・欠損が見られたら、視野検査で上方の視野欠損が見られます。

視野検査には動的視野と静的視野を調べるものがあります。動的視野検査では、見える範囲全体を調べ、静的視野検査では調べたい範囲内で「どこまで暗い光が見えるのか(感度)」を調べます。

緑内障の診断には、眼底検査(もしくはOCT検査)による神経の菲薄化・乳頭陥凹の確認、視野検査が必要です。ただし、視野検査で正常視野であっても緑内障であることがあります(前視野緑内障)。

OCTとは、光干渉断層計のことで、組織の断層像を見ます。形状を解析し、網膜の厚みなどを測定することができます。

緑内障の治療方針は、「十分な眼圧下降」による「改善もしくは抑制」を図ることです。方法は病型によって異なりますが、眼圧下降が目的であることは変わりません。