北里大学病院 眼科 主任教授 庄司 信行先生によるプレゼンテーションPart1になります。
【目次】
00:05~ 緑内障診療ガイドラインによる治療指針
00:50~ 緑内障のレーザー療法
03:09~ 緑内障の観血的治療
05:42~ 緑内障手術に求めること
06:49~ 流出路再建術の件数推移(推定)
07:42~ 低侵襲緑内障手術(MIGS)
08:52~ Trabeculotomy ab interno
09:12~ Trabectomeの手術ビデオ供覧
09:44~ Trabectome術後の眼圧経過
10:13~ Trabectome術後の生命表解析
11:00~ 薬物スコア
11:54~ 合併症の種類と頻度
13:17~ 生命解析表(病型別・術式別)
15:21~ 治療成績から考える適応
16:06~ シュレム管ターゲットのMIGS(Trabectome)
16:53~ シュレム管ターゲットのMIGS(Kahook dual blade)
17:42~ シュレム管ターゲットのMIGS(iStent & iStent inject (W))
18:21~ シュレム管ターゲットのMIGS(谷戸式Microhook):手術ビデオ供覧
20:33~ MIGSの現状と課題
22:18~ MIGSの経過・経過フォローについて
24:20~ MIGS術後の注意点
26:10~ 患者さんへのメッセージ
【概要文】
緑内障ガイドライン第4版(2018)のフローチャートをみると、ベースライン評価から目標眼圧を設定し、薬物を使っていくという流れになっています。緑内障治療薬ではいくつかの薬剤を併用します。薬物治療が奏功しない場合には、レーザー治療、手術治療が必要になります。
緑内障のレーザー療法には、いくつかの種類があります。
(レーザー線維柱帯形成術、レーザー隅角形成術、レーザー虹彩切開術、毛様体光凝固術の詳細を講演内で紹介しています)
緑内障の観血的治療には、流出路再建術と濾過手術があります。
濾過手術はハイリスク・ハイリターン、流出路再建術はローリスク・ローリターンであり、手術法の選択は慎重に行う必要があります。
濾過手術の件数は2014→2018年で2万件前後とあまり変化がありませんでしたが、流出路再建術は、2011年に6000件前後であったところから2019年には3万件弱と4倍以上に増えています。
低侵襲緑内障手術(MIGS; minimally invasive glaucoma surgery)にはいくつかの種類がありますが、日本では前房とシュレム管の交通を行う canal-based MIGSが実施されています。
MIGSの手法として、TrabectomeとBlade、そして谷戸式Microhookが用いられています。器具の違いはありますが、原理的には「線維柱帯を切開する」という点で共通です。 講演ではTrabectomeの手術ビデオ、術後の眼圧経過と生命表解析、薬物スコアの推移を紹介しています。
合併症については、術翌日に前房出血が60%程度、その他一過性眼圧上症や低眼圧などが挙げられます。前房出血については、手術効果の目安でもあるため、見られても異常ではありません。
講演内では、病型別・術式別の生命表解析の検討をしています。
MIGSの治療成績から適応を考えると、①目標眼圧が15~16mmHgの開放隅角緑内障(要点眼継続) ②病型による違いを加味した適応 ③術式による違いを加味した適応 とに分けられます。
シュレム管ターゲットのMIGS(Trabectome)では、術前眼圧20~30mmHgから術後は16~18mmHgに下降し、薬剤スコアも0.5~2ポイント減することが報告されています。
講演内では、各術式による効果の検討を紹介しています。
現在、日本では、シュレム管を利用したMIGS(切開 or 留置)が認可されています。
現在は、Full medicationの状態で手術が実施されるケースが多いですが、投薬剤数が少ない早期のMIGS導入が効果的であるという報告もされており、今後の治療方針が変わってくる可能性があります。シュレム管以降の機能評価も今後の課題です。
MIGSの経過において、術直後は逆流性出血によるかすみ、視力低下が見られますが、数日で軽快します。点眼薬は、緑内障点眼薬を継続する場合と、一旦中止してから眼圧に応じて再開する場合とがあります。術後点眼薬(抗菌・抗炎症)は1ヶ月前後で中止します。
MIGSは「手術して終わり」の治療ではないため、定期的な通院が必要です。術後に生活上の制限はほとんどありませんが、血圧上昇時に逆流性出血の報告があります。
MIGSは、眼圧が高めで早期~中期の開放隅角で効果的な治療法です。進行例や正常眼圧緑内障には適さない場合があります。適応については主治医とよく相談しましょう。
手術時間はごく短く、局所麻酔で痛みはほとんどありません。白内障手術と一緒に行うこともあります。効果は永続的ではないため、術後も必ず定期的な検査が必要です。
【目次】
00:05~ 緑内障診療ガイドラインによる治療指針
00:50~ 緑内障のレーザー療法
03:09~ 緑内障の観血的治療
05:42~ 緑内障手術に求めること
06:49~ 流出路再建術の件数推移(推定)
07:42~ 低侵襲緑内障手術(MIGS)
08:52~ Trabeculotomy ab interno
09:12~ Trabectomeの手術ビデオ供覧
09:44~ Trabectome術後の眼圧経過
10:13~ Trabectome術後の生命表解析
11:00~ 薬物スコア
11:54~ 合併症の種類と頻度
13:17~ 生命解析表(病型別・術式別)
15:21~ 治療成績から考える適応
16:06~ シュレム管ターゲットのMIGS(Trabectome)
16:53~ シュレム管ターゲットのMIGS(Kahook dual blade)
17:42~ シュレム管ターゲットのMIGS(iStent & iStent inject (W))
18:21~ シュレム管ターゲットのMIGS(谷戸式Microhook):手術ビデオ供覧
20:33~ MIGSの現状と課題
22:18~ MIGSの経過・経過フォローについて
24:20~ MIGS術後の注意点
26:10~ 患者さんへのメッセージ
【概要文】
緑内障ガイドライン第4版(2018)のフローチャートをみると、ベースライン評価から目標眼圧を設定し、薬物を使っていくという流れになっています。緑内障治療薬ではいくつかの薬剤を併用します。薬物治療が奏功しない場合には、レーザー治療、手術治療が必要になります。
緑内障のレーザー療法には、いくつかの種類があります。
(レーザー線維柱帯形成術、レーザー隅角形成術、レーザー虹彩切開術、毛様体光凝固術の詳細を講演内で紹介しています)
緑内障の観血的治療には、流出路再建術と濾過手術があります。
濾過手術はハイリスク・ハイリターン、流出路再建術はローリスク・ローリターンであり、手術法の選択は慎重に行う必要があります。
濾過手術の件数は2014→2018年で2万件前後とあまり変化がありませんでしたが、流出路再建術は、2011年に6000件前後であったところから2019年には3万件弱と4倍以上に増えています。
低侵襲緑内障手術(MIGS; minimally invasive glaucoma surgery)にはいくつかの種類がありますが、日本では前房とシュレム管の交通を行う canal-based MIGSが実施されています。
MIGSの手法として、TrabectomeとBlade、そして谷戸式Microhookが用いられています。器具の違いはありますが、原理的には「線維柱帯を切開する」という点で共通です。 講演ではTrabectomeの手術ビデオ、術後の眼圧経過と生命表解析、薬物スコアの推移を紹介しています。
合併症については、術翌日に前房出血が60%程度、その他一過性眼圧上症や低眼圧などが挙げられます。前房出血については、手術効果の目安でもあるため、見られても異常ではありません。
講演内では、病型別・術式別の生命表解析の検討をしています。
MIGSの治療成績から適応を考えると、①目標眼圧が15~16mmHgの開放隅角緑内障(要点眼継続) ②病型による違いを加味した適応 ③術式による違いを加味した適応 とに分けられます。
シュレム管ターゲットのMIGS(Trabectome)では、術前眼圧20~30mmHgから術後は16~18mmHgに下降し、薬剤スコアも0.5~2ポイント減することが報告されています。
講演内では、各術式による効果の検討を紹介しています。
現在、日本では、シュレム管を利用したMIGS(切開 or 留置)が認可されています。
現在は、Full medicationの状態で手術が実施されるケースが多いですが、投薬剤数が少ない早期のMIGS導入が効果的であるという報告もされており、今後の治療方針が変わってくる可能性があります。シュレム管以降の機能評価も今後の課題です。
MIGSの経過において、術直後は逆流性出血によるかすみ、視力低下が見られますが、数日で軽快します。点眼薬は、緑内障点眼薬を継続する場合と、一旦中止してから眼圧に応じて再開する場合とがあります。術後点眼薬(抗菌・抗炎症)は1ヶ月前後で中止します。
MIGSは「手術して終わり」の治療ではないため、定期的な通院が必要です。術後に生活上の制限はほとんどありませんが、血圧上昇時に逆流性出血の報告があります。
MIGSは、眼圧が高めで早期~中期の開放隅角で効果的な治療法です。進行例や正常眼圧緑内障には適さない場合があります。適応については主治医とよく相談しましょう。
手術時間はごく短く、局所麻酔で痛みはほとんどありません。白内障手術と一緒に行うこともあります。効果は永続的ではないため、術後も必ず定期的な検査が必要です。