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結腸がんにおける腹腔鏡手術のメリット・安全性


東京女子医科大学 下部消化管外科の山口 茂樹先生のインタビューです。

【目次】
00:05~ 腹腔鏡手術のメリットと安全性
01:57~ ロボット支援下手術の実施状況
03:00~ 術後合併症について

【概要文】
腹腔鏡手術とはお腹にいくつか小さな穴をあけ、そこから細いカメラや手術器具を入れ、カメラが映し出す映像をモニターで見ながら行う手術です。
大きく腹部を切開する開腹手術と比べ低侵襲で、少ないダメージで手術を受けられるのが特徴です。

最近はさまざまな手術が腹腔鏡により行われており、直腸の低位前方切除・食道切除・結腸の右半切除・幽門側胃切除は腹腔鏡手術の割合がすでに50%を超えています。
しかし、腹腔鏡手術は施設により合併症の発生率が異なるという調査結果もあるため、施設選択の際しっかり情報収集をすることも重要だと先生はおっしゃっています。

ロボット支援下手術とは、ロボットアームに取り付けた手術器具とカメラを、連動している術野の外にある機械で術者が遠隔操作して行う手術のことです。
保険適用となる疾患・手術の範囲が広がり、現在手術件数がうなぎ上りに増加している状況です。
ロボットを介して手術器具を操作しているため、術者の手には抵抗や圧迫などの感触がない点がデメリットで、過去に手術器具が知らぬ間に非常に強い圧力で臓器を損傷させたケースも報告されています。

結腸がん手術の術後合併症の中で多いのは、縫合不全・腸閉塞・創感染です。
縫合不全は、腫瘍を切除した後の腸のつなぎ目が破綻してしまう重度の合併症で、便が腹腔内にこぼれてくるため緊急で再手術となったり、一時的に人工肛門を造設したりする場合があります。
腸閉塞とは、術後に胃腸の運動が抑制され、腸管が正常に動かなくなってしまう状態のことです。

一般的には結腸がんは後遺症が非常に少ないと言われており、特に上行結腸や横行結腸の摘出では後遺症はほぼ無く、S状結腸切除後に排便回数が少し増える程度です。
それでも直腸手術に比べると排便障害は少なく、排尿・性機能障害も結腸の手術では少ないと言われています。