帝京大学ちば総合医療センター 第三内科(腎臓内科)教授 寺脇 博之先生によるインタビューPart3です。
【目次】
00:05~ 治療法の選択について
00:43~ 貴院での取り組みについて
【概要】
透析の種類を選択する基準は個人差があります。例えば、就労状況や合併症の有無・サポート可能な家族が同居しているか否かなどが挙げられます。
就労中で週3回決まった時間に通院することが難しいかたは、時間と場所の制約がある血液透析ではなく腹膜透析を選択する。心機能が芳しくない高齢者や独居の方などは、身体状況と環境等を踏まえた上で血液透析を選択する。以上のように個人の置かれた身体状況や環境によって選択肢が変化します。
最終的な判断は、医師や看護師と話し合い納得した上で当事者である本人が決定をします。
治療方法の選択における同院の取り組みとして、毎週月曜日の午後に療法選択外来を実施しています。医師と看護師が同席し、1枠1時間以上の時間をかけ患者さんやご家族からの質問に応じています。必要に応じて、臨床工学技士、薬剤師、栄養士も加わり、多角的に腎代替療法(血液透析、腹膜透析)の情報提供をします。最終的には患者さんにとってベストの選択をできるよう丁寧な説明を心がけています。
腹膜透析は自宅で行えることがメリットですが、採血などの定期健診で通院すること自体が大変な負担になる方も多くいらっしゃいます。その対応策として同院では、地域医療機関と連携し、医師による往診、看護師による透析液と排液交換手技の援助など、診療と腹膜透析の実施(Full-assisted PD)を月に1回行っています。日常生活動作が低下して外出が難しい方や、日中は家族が不在でサポートが必要となる方に、できるだけ最良の結果を届けられるような試みを、行っています。
同院は地域の基幹病院であるため、地域に貢献する義務があります。
そのため同院の腎センターにおいては、新型コロナウイルスに感染した透析患者の方も透析が受けられるように、透析室を改装しました。
また、新型コロナを含めた病原菌が殺菌可能な装置を導入し、安全性を確保しながら治療を行うことで、地域医療に貢献しています。