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肝がんの陽子線治療 Part1


筑波大学附属病院 陽子線治療センター 部長 櫻井英幸先生による「肝がんの陽子線治療」のプレゼンテーションのPart1です。

【目次】
0:15~ 粒子線治療とは
3:40~ 世界の粒子線治療施設数について
4:25~ 日本の粒子線治療の現状について
5:52~ 米国放射線腫瘍学会の粒子線治療に対する考え方
6:24~ 症例提示

【概要文】
一般に放射線治療というと、X線やガンマ線を用いた治療が行われます。しかし最近は粒子線(特に陽子線、重粒子線)を用いた治療が広まりつつあります。

病巣にX線やガンマ線を照射すると、がんの前や後ろにも放射線が当たってしまいます。
しかし粒子線では目的の部位で止まり、がんの奥の部位にはほとんど照射されません。さらに重粒子線は局所においてX線よりも強い作用があります。
このような物理学的・生物学的利点から、粒子線治療は治療効果と安全性の向上が期待されているのです。
ただし、粒子線治療のデメリットとして、大型の施設・設備が必要という点が挙げられます。


2018年4月1日時点で、日本での粒子線治療の枠組みは次のようになっています。

保険診療
・切除非対応の骨軟部腫瘍
・咽喉頭の扁平上皮癌を除く頭頚部癌
・限局性・局所進行性前立腺癌
・20歳未満の小児腫瘍(陽子線治療のみ)

先進医療
A:適応を限り、統一治療方針に基づく治療 全例登録、施設訪問調査
B:臨床試験(肝癌、肺癌、膵癌など)

日本で粒子線治療が行われている症例は多い順に前立腺癌、肝臓癌、頭頚部腫瘍などです。


アメリカでは米国放射線腫瘍学会が粒子線治療に対する考え方を発表しています。
その中で、小児癌、頭蓋底腫瘍、脊椎腫瘍、眼の腫瘍、肝癌、脳腫瘍などは陽子線治療の利用が推奨されています。

また、日本の肝癌診療ガイドライン2017では、「他の局所療法の適応が困難な肝細胞癌に対して粒子線を行ってよい」との記載があります。


現在、肝細胞癌に対する陽子線治療のプロトコールは、癌の発生部位によって3つに分けられています。
2011年に報告されたプロトコールごとの治療成績を比較した論文では、局所コントロール、生存率ともに大きな差はみられませんでした。
その一方、この研究では、Grade3の消化管有害事象は3例認められています。これらの有害事象はいずれも癌が消化管に近接していた症例で発生していました。

また、次のような研究で、陽性線治療の成績は標準治療とほとんど差がない、もしくは陽子線治療の方が良好という結果が得られています。
・筑波大学で行われた治療歴のない肝細胞癌に対する陽子線治療成績の後ろ向き検討
・ロマリンダ大学で行われている陽子線治療と血管内治療のランダム化比較試験の中間解析
これらの詳細については動画にて櫻井先生に解説していただきました。

陽子線治療は、標準治療が難渋するような門脈腫瘍塞栓例や肝内胆管癌にも実施可能です。
これらの症例に陽子線を根治的照射(肉眼的に確認できる全ての病巣に陽子線を照射)できれば、約半数の患者さんで2年の生存が期待できると櫻井先生らは報告しています。


現在、肝癌に対する局所的な治療は手術、ラジオ波、血管内治療ですが、放射線治療は次の標準治療になりうる治療法であると櫻井先生はおっしゃっています。
個々の状態に合わせて実施を検討することをおすすめするそうです。


Part1では粒子線治療の原理や現状、各ガイドラインにおける位置づけを解説していただきました。また、実際に陽子線治療を受けた肝癌のCT画像をご覧いただけます。
粒子線治療の実情を理解いただければ幸いです。
Part2とあわせてぜひご覧ください。