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寺井 義人先生:腹腔鏡下子宮体がん手術 開腹と腹腔鏡下のエビデンス


【目次】
00:18~ 子宮体癌における腹腔鏡下手術の増加
00:40~ 海外RCTからみた開腹手術との比較(手術侵襲)
01:01~ 子宮体癌における腹腔鏡下手術の予後
01:20~ 腹腔鏡下手術の適応(治療ガイドラインより)
02:11~ 腹腔鏡下準広汎子宮全摘出術
03:01~ 開腹手術の比較(子宮体癌)
03:32~ 腹腔鏡下手術施行の子宮体癌治療成績(ⅠA期)
03:47~ 再発症例の転帰
04:37~ 肥満症例に対する腹腔鏡下手術
06:49~ 筋腫を含んだ子宮体癌に対する腹腔鏡下手術
08:09~ 再発中~高リスクの子宮体癌に対する腹腔鏡下手術
09:25~ 傍大動脈リンパ節郭清の手術創の違い
10:15~ 腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術の手術ビデオ
13:24~ 腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清と開腹手術との比較
14:17~ 進行子宮体癌に対する腹腔鏡下手術
15:39~ 腹腔鏡下手術か、開腹手術か
16:19~ まとめ

2006年以降、腹腔鏡下手術の件数が増加し、2010年からは開腹手術を超える件数が実施されています。(米国)
海外RCTによると、腹腔鏡手術は「手術時間は長い傾向にあるが、術中出血量は有意に少なく、入院期間も有意に短い」という結果が報告されています。
早期子宮体癌では、開腹手術と腹腔鏡下手術で、予後に差が無く、腹腔鏡手術とロボット手術にも差がない、と言われています。

最新の子宮体癌治療ガイドラインでは、腹腔鏡下手術の適応について、いくつかの推奨グレードを定めています。
腹腔鏡手術は手術手技の難易度が高いため、手技に習熟した医師によって実施されることが重要です。

神戸大学では、子宮体癌に対しては、準広汎子宮全摘出術を行なっています。
神戸大学において、腹腔鏡手術160例と、同時期に行った開腹手術を比較すると、手術時間は腹腔鏡手術の方がやや長く、出血量は腹腔鏡手術の方が有意に短いことが分かっています。また、摘出リンパ節数は、腹腔鏡手術の方が多い傾向にあります。入院期間は腹腔鏡手術の方が有意に短く、術後回復が早いということが分かっています。
また、ⅠA期における予後は、96%の無病生存率、99%の5年生存率となっています。
再発形態としては、術前にグレードⅠと考えられていた症例で、漿液がんやがん肉腫が含まれていたり、腹膜転移があってⅣ期となっていたケースがあります。
このような症例を含めた腹腔鏡手術施行の子宮体癌治療成績を見ますと、リンパ節転移のあるⅢC期においてはⅠ期と同じ予後となっています。予後が悪いのはⅣB期で、術前の診断でも検出できなかったような症例です。

子宮体癌で肥満の患者さんに対する腹腔鏡手術の実施に関して、治療成績が検討されており、「BMIが高いほど、回復へのConversionが高くなる」と報告されています。
腹腔鏡手術では、腹腔内で視野さえ確保することができれば、手術を続行することが可能です。
神戸大学で行ったBMI30以上の肥満例に対して行った腹腔鏡手術18例と、同時期に行った開腹手術16例を比較すると、術中出血量は腹腔鏡手術の方が有意に少なく、摘出リンパ節個数には差がなく、術後の傷の開きは、腹腔鏡手術で0でした。

筋腫を持った子宮体癌に対しては、腹腔鏡下手術を行うかどうかについて議論の余地がありますが、腹腔鏡下手術の場合であっても、視野が十分に確保できれば可能であると考えられています。
大きすぎる筋腫に対しては、下腹部を一部切開して袋に入れた状態でまとめて取り出す、という方法を取ります。

再発中~高リスク群の子宮体癌においては、傍大動脈リンパ節郭清まで行った症例と、骨盤リンパ節郭清までで行ったものを比較すると、有意に予後に差が出ていることが分かっており、傍大動脈リンパ節郭清の治療意義があると言えます。 ビデオ内では、腹腔鏡下手術の場合の術者の配置図と、実際の手術ビデオを発表しています。
5施設で実施された腹腔鏡下手術と開腹手術による傍大動脈リンパ節郭清を比較した論文では、腹腔鏡下手術の方が有意に出血量が少なく、術後の入院期間も短いという結果が報告されました。実施数は増加傾向にあり、保険適用の実現が期待されます。

進行子宮体癌に対しては、グレードⅠ推定で腹腔鏡下手術を開始し、術中迅速診で腹膜播種が判明して、開腹手術に切り替え、という症例があります。
子宮外進展のある進行子宮体癌には、debulking surgeryが有用と考えられています。

子宮体癌に対する腹腔鏡下手術は増加していますが、開腹手術が全く行われないわけではありません。
進行子宮体癌に対しては、まだ開腹手術が主流です。