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小児夜尿症診断のテクニカルポイント Part1


順天堂大学医学部附属練馬病院 小児科 科長、先任准教授 大友 義之 先生によるプレゼンテーションになります。

【目次】
00:25~ 夜尿症の定義
01:14~ 夜尿症の頻度
03:22~ 夜尿と原因
07:26~ 夜尿症の分類
09:43~ 併存症の存在
10:15~ 夜尿症の治療タイミング
11:32~ 診療の流れ
13:50~ 問診の重要性

【概要文】
夜尿症の定義は、「5歳」の時点で、睡眠中に間欠的に尿の失禁が見られるもので、1ヶ月に1回以上の夜尿が3ヶ月以上続くもの、とされており、夜尿症は、日本では5~15歳の約80万人(6.4%)が罹患していると言われています。

夜尿症の95%以上が器質的な原因は無いとされています。器質的原因としては、先天性腎奇形や尿崩症などが挙げられます。
また、下部尿路疾患や脊髄疾患による膀胱機能障害が原因のケースや、尿管異所開口、てんかん発作などが原因になっているケースもあります。
夜尿症の病因は、夜間多尿・覚醒障害・膀胱容量低下(過活動膀胱)の3つの要素が複合的に絡み合っていると考えられています。

夜尿症の分類には2つあります。
1つ目が「1次性夜尿症」と「2次性夜尿症」に分けるものです。1次性夜尿症は75~90%と言われています。
一方、2次性夜尿症は6ヶ月以上夜尿が無かったのに再発したケースで、10~25%と言われています。2次性夜尿症は後天的な疾患なども考えられるため、原因疾患の検索を行います。

夜尿症の分類の2つ目は「単一症候性夜尿症」と「非単一症候性夜尿症」に分けるものです。単一症候性夜尿症とは、昼間の尿失禁が無いタイプで、75%と言われています。それ以外が非単一症候性夜尿症で、昼間の尿失禁が見られるため、膀胱~下部尿路に問題がある可能性が考えられます。

夜尿症の診療にあたっては、併存症の存在に留意する必要があります。便秘症やADHD・自閉症などの発達障害は、非単一症候性夜尿症に多いと言われています。

夜尿症の定義では5歳以上、とされていますので、就学後に夜尿が治らない場合で、本人や家族の悩みになっているようであれば、受診をすることが勧められています。
ただし、昼間にも尿漏れがあるケースでは、重大な疾患が隠れている可能性があるので、6歳未満でも治療の対象になると考えられます。

夜尿症の診療の流れは、一定のアルゴリズムに則って行います。まずは診察・問診が重要で、これらを元に生活指導を行ないます。
昼間の尿失禁が改善されない場合は、専門医に相談することがベターです。
ガイドライン上は、薬物治療とアラーム療法、またはその併用が推奨されています。

夜尿症の治療では、病型の把握を行いますが、これには問診が重要です。治療を希望するのか、夜尿の継続期間、昼間の尿失禁の有無など、治療に重要な情報収集を行います。