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骨粗鬆症の女性医学的アプローチ Part1


横浜市立大学付属市民総合医療センター 婦人科、よしかた産婦人科 院長 善方 裕美先生によるプレゼンテーションになります。

【目次】
00:20~ 女性医学とは
01:30~ 胎児期から始まる骨の健康
02:38~ 思春期のにおける骨密度増加
03:42~ 性成熟期における骨量の増減(妊娠前後)
05:58~ 妊娠後骨粗鬆症について
10:16~ SKY pregnant cohort studyについて

【概要文】
女性医学は、縦割り的に年齢ごとで考えるのではなく、これから起こりうる疾患について予防医学の観点から取り組むことを目的としてます。
今までの婦人科領域は、生殖医療・周産期医療・腫瘍の3つのサブスペシャリティがありましたが、現在ではこれに加えて女性医学が加わっています。

骨粗鬆症予防を考える上では、胎児期からの健康が重要です。
適正な出生体重は2500g前後ですが、低出生体重児では骨密度が低い、と言われています。つまり、母体の適性体重増加が重要となります。

腰椎の骨密度増加率を見ると、20代がピークとなりますが、急激に伸びるのは思春期です。ここで十分な栄養や運動、睡眠をとることが将来の骨粗鬆症を防ぐことにつながります。
2010年の”Bone”における報告によると、最大骨量を10%あげると骨粗鬆症による骨折は50%減少すると言われています。

性成熟期においては、女性ホルモンの状態を適正に保つことで骨量減少はある程度防ぐことができます。
妊娠中の骨量はほとんど変化がありませんが、授乳期は母体骨量が減少してしまいます。卒乳すると妊娠前よりも骨量が増えることもありますが、これは栄養状態が良い場合に限ります。

妊娠後およそ半年以内くらいに、「妊娠後骨粗鬆症」という、突然たくさんの背骨が折れてしまう(圧迫骨折)ことがあります。予防は非常に難しいと考えられており、原因も不確定で確立した治療もまだありません。
「授乳中に腰が痛くてたまらない」という訴えがあった時はまず、授乳を止めることが対処法となります。ただし、授乳は急に止めることは難しく、乳房ケアを適切にしなければ乳腺炎になるリスクもあります。
まずは、このような疾患形態があることを知っていただくことが大切かと思います。

SKY pregnant cohort studyは、妊娠授乳期のビタミンD充足に関するコホート研究です。妊娠期~授乳期~卒乳後まで前方視的に縦断研究しました。
ここから分かったことは、プレコンセプションケア(妊娠初期からのケア)が重要であるこということです。
発表中には、詳細な分析結果をスライドで紹介いただきました。
最後には、ビタミンD充足度の測定の保険適応になったことも併せてご紹介いただいております。