診療科概要
臨床
私たちの教室はこれまで伝統的に聴覚、平衡覚に関わる耳科学的診療を中心としてきましたが、同時に嗅覚やアレルギーを含む鼻科学、高齢者や新生児・小児疾患に加え頭頸部腫瘍術後や神経・筋疾患をも対象とした摂食・嚥下障害、そして近年増えつつある睡眠時無呼吸など気道の問題まで、幅広い領域をカバーする高度な臨床を提供すべく日々努力しています。
悪性腫瘍は頭頸部外科にお任せする形となりますが、医局員は共通であり、また耳の腫瘍などの症例もあり、共同で診療にあたっています。
臨床は全人的なもので、耳鼻咽喉科内のみで完結するものではなく、神経内科、脳神経外科、小児科、眼科、リハビリテーション部、そして国内最大規模の歯学部附属病院を含め、関連各科と協力して有機的に結合した診療を行っています。
研究
臨床医である耳鼻咽喉科医が研究を行うのには2つの目的があると考えています。
1つ目は、臨床医(耳鼻咽喉科医)ならではの視点から得たテーマに基づき、この領域の将来に資する基礎的ならびに臨床的研究を行い、後世の耳鼻咽喉科医療の発展と人間の生活の質の改善に寄与することです。
2つ目は、臨床医個人として疾患をより深く理解し、患者さんへのより的確なフィードバックが可能となるよう研究を通して自らの能力を高めることです。
私たちの教室では、聴覚の遺伝子・電気生理・形態にわたる一貫した基礎研究、工学系大学とタイアップした平衡神経科領域の基礎・臨床研究、鼻科学・アレルギー領域の基礎研究、睡眠時無呼吸症候群に関わる臨床研究など多岐にわたる研究を、それぞれの医局員が自らの興味に従って行っています。
海外への研究留学についてはこれまでNIHやハーバード大学へ多くの先生が留学しており、今後さらに同門会の先生のご協力の下Vanderbilt大学も留学・共同研究先として加わる予定です。
教育
大学医学部、大学病院の最も大きな責務は教育です。
医学生・臨床医だけでなく、臨床検査技師や看護師も含め、優れた医療者を教育し世に送り出してくことが、私たちが最も注力すべきことであると考えます。
現在の医学教育は大きな過渡期にさしかかっています(いつもそう言われている気はしますが)。枝葉の知識だけではなく、解剖および生理学的な基礎から一般臨床まで、一貫した理解のできる医療者を育てるべく、大学と各診療科が協力して教育カリキュラムを構成しています。
学生だけでなく臨床医となり教室に所属した後も、目の前の事象がベースとなる解剖・生理学的知識の上で理解できるよう、常に基礎的なメカニズムの理解に立ち返った教育を心がけています。
また、臨床についての項で少し書きましたが、単一の専門領域に特化しすぎず、まずオールラウンドに診療を行えるようになった上で、その後サブスペシャリティを獲得していくようにしいています。
教室の雰囲気、方向性
臨床・研究に熱く取り組む人材が豊富ながらも、どこかほのぼのとした雰囲気の流れる教室です。何がこの雰囲気を形作っているのか定かではありませんが、伝統とはそういったものでしょうか。
そして、教室員皆が非常に教育熱心です。多数ある関連病院も含めアクティビティが高く、個人のいろいろな希望に即したキャリア形成が可能です。
また、同門会の先生方も教室の若手の教育に積極的に関わってくれています。
男女比は、近年女性医師の増加に伴い、入局者の約半数を女性が占めるようになりました。先駆的な診療や研究に携わりたい人、地域医療を基幹病院で支えていきたい人、患者さんに密着したケアに携わりたい人、自分の生活も大切にしたい人、いろいろな希望に添える選択肢が用意されています。