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急性心筋梗塞とは;どんな症状で現れる?診断と治療はどのように?


急性心筋梗塞、名前は誰もが耳にしたことのある疾患です。近年、糖尿病やメタボリックシンドロームなどの生活習慣病の患者が増加していますが、急性心筋梗塞はそれらから続発する可能性がある疾患の一つです。
今回は、急性心筋梗塞の概要、症状、診断方法などについて、菊名記念病院 循環器センター長の本江純子先生に教えていただきました。

【急性心筋梗塞の概要:動脈硬化で血管が詰まるのが基本】
急性心筋梗塞の基本病態は「動脈硬化」です。血管の壁にコレステロールなどが溜まることで「プラーク」が形成され、血管が狭くなって血流を低下させます。
時間が経過するとプラークに少しずつ傷が付き、そこに血栓が形成されると、血管を塞いでしまいます。かろうじて保たれていた血流が完全に止まり、酸素や栄養の運搬が途絶えてしまうため、少しずつ心臓の筋肉(心筋)が壊されて、大体6時間程度で壊死に至ります。
この一連の流れは「何の前触れもなく突然起こることが多い」というのが特徴です。

【急性心筋梗塞の症状:冷汗とともに強烈な胸の痛みが現れたらすぐに病院へ】
急性心筋梗塞の症状としては、長時間続く、強烈な胸の圧迫感や絞扼感(しめつけ)、痛みが挙げられます。それに伴って、冷汗や顔面蒼白などの症状が見られます。
詰まる血管によっては、心臓の脈拍を司る部分(洞結節、房室結節)への血流が途絶えてしまうため、気が遠くなったり意識喪失を訴えて、病院にくるケースが多くあります。
いずれも急性で、「今までに経験したことのない」「強烈な」といった症状が特徴的です。

【急性心筋梗塞の診断:致命的になりがちなので治療を同時に】
急性心筋梗塞の診断は一刻を争います。心筋の壊死をできるだけ最小限に抑えなければ命に関わるからです。したがって、診断と治療を同時にスタートさせます。
強烈な胸の痛みなどを訴えて来院した場合、すぐに心電図を記録します。
また、急性心筋梗塞の患者は致命的な不整脈によって突然病状が急変することが多いため、すぐに薬を投与できるように、点滴用の管を入れてルート確保も行います。
心電図を一枚取れば、心筋梗塞であることはほぼ診断できるため、詰まった血管を再び開通させる治療が必要です。この治療にはカテーテルを用います。

【IVUS(血管内超音波)について:カテーテル治療と一緒に行う】
IVUS(血管内超音波)とは、1mm弱の管の先端に超音波センサーが付いており、これが回転することで、血管の断面図を観察することが出来る機械です。
心筋梗塞の治療の場合、IVUSはカテーテル治療に入った段階で用います。輪切の血管写真を見ながら、実際の血管のサイズや血栓の数、脂っぽい成分が溜まっているかどうかなどを確認して、治療方針の選択に役立てます。