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慢性腎臓病の概要


帝京大学ちば総合医療センター 第三内科(腎臓内科)教授 寺脇 博之先生によるインタビューPart1です。

【目次】
00:05~ 腎臓の役割とその進化
01:02~ 慢性腎臓病の主な原因
01:37~ 診断に至るまで
02:20~ 重症化した場合の症状

【概要】
腎臓のもっとも大きな役割は、尿を作り毒素を排出することです。
しかし尿には水分の他に、ブドウ糖やナトリウム、アミノ酸など、体にとって有用な有機物も含まれています。 そのため腎臓は毒素を排出しながらも、体内 に有用な有機物は排出しないようにするという機能があるのです。
腎臓の役割は人間や哺乳類以外にも、ほとんどの多細胞 生物に備わっており、生物の進化と関連して腎臓の機能は向上していきました。

腎臓の機能が悪くなる原因の大部分は、生活習慣病と言われています。
我々人類は、飢饉や飢餓などに見舞われながら進化してきました。そのため栄養素が足りないことが多い一方で、栄養素が過剰になることはほとんどありませんでした。そのような状況であったことから、腎臓は少ない栄養を排泄しないようにする機能を獲得してきました。しかし現代は腎臓への負荷が増すことで、糖尿病・高血圧・動脈硬化・肥満・高尿酸血症を始めとする生活習慣病を引き起こす一因となっています。

慢性腎臓病の大部分は無症状であるといわれています。そのため、健康診断で発見されることが多く、診断に至るまでの間に病状は進行しています。腎機能が低下すると、吐き気・食欲低下・イライラする・痙攣・浮腫・貧血などの症状が現れます。
診断された時点で軽症かつ無症状であっても、死亡・疾病(脳卒中・心筋梗塞など)リスクが高まることが示唆されています。このように自分自身では気がつかない間に死亡リスクが上昇していたり、透析が必要になったりすることが、慢性腎臓病の恐ろしさなのです。