のどに発生する表在咽頭がん。初期症状が乏しいこと等から、早期発見は難しいとされてきました。
近年では内視鏡技術が向上し、早期の診断・治療が可能になっています。
今回は、表在咽頭がんの基礎知識について、虎ノ門病院分院消化管センター内科 特任部長、消化器と診断・治療内視鏡クリニック 院長の菊池 大輔先生に解説いただきました。
【目次】
00:05~ 表在咽頭がんの疾患概要
00:58~ 発見に至る経緯について
01:55~ 表在咽頭がんの検査法
02:38~ 内視鏡検査の種類について
03:22~ 鎮静剤の使用について
【概要】
表在咽頭がんは、上・中・下咽頭のいずれかに発生し、筋層浸潤がなく上皮または上皮下組織に限局する腫瘍を指します。
主に扁平上皮がんで、近年増加傾向にあります。主なリスク因子は飲酒と喫煙で、特にアルコールフラッシング反応がある人でリスクが高まります。
初期段階では無症状のことが多く、進行すると咽頭違和感、疼痛、血痰などの症状が現れます。
早期発見には内視鏡検査が不可欠です。細径内視鏡は患者負担が少なく、拡大機能付き通常径内視鏡はより詳細な観察が可能です。
診断技術の向上や内視鏡機器の精度が高まっていることにより、健康診断での発見例も増えています。
検査時は、咽頭がんの好発部位である梨状陥凹の観察のため、発声や呼吸法を指示することがあります。
そのため、完全な鎮静は避け、鎮痛剤を主体とし、必要に応じて少量の鎮静剤を併用する方法が推奨されます。
診断後は、超音波検査やCT検査で進展度や転移の評価を行います。
早期発見・早期治療が重要であり、定期的な内視鏡検査による経過観察が推奨されます。