子宮頸癌におけるLACC trialの報告

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東海大学病院 産婦人科 教授 三上 幹男先生による「子宮頸癌におけるLACC trialの報告」のプレゼンテーションです。

【目次】
0:11~ LACC trialについて
6:36~ 子宮頸癌に対する開腹手術、腹腔鏡手術の後ろ向き研究について
9:23~ 日本における広汎子宮全摘の術式(岡林メソッド)と腹腔鏡下手術の問題点について
12:14~ LACC trialに関連する日本での臨床研究
13:23~ アメリカの婦人科腫瘍学会から発行された治療法の選択に関するお知らせについて


子宮体癌に対しては、「腹腔鏡手術は、開腹手術に劣らない。」という結果がすでに得られています。
腹腔鏡手術は開腹手術に比べて患者にとって低侵襲な術式になるため、子宮頸癌の手術でも同様の結果が得られれば、患者にとって負担が小さく、有効な治療法になるといえるでしょう。

このような背景のもと、「子宮頸癌に対する腹腔鏡手術は、開腹手術に比べて見劣りがしない。」という仮説を立てて行われた第三相・多施設ランダム化比較臨床試験がLACC trialです。
LACC trialでは次のような結果が得られました。

・低侵襲手術の方が、骨盤内再発の発生率が高い
・低侵襲手術の方が、無病再発生存率が低い(HR 3.74)
・低侵襲手術の方が、全生存率が低く、予後不良である(HR 6.00)

このように、低侵襲手術の方が開腹手術に比べて予後が悪いという結論になったといいます。この結果は、世界中の医師に大きな衝撃を与えました。


LACC trialの報告の後に世界で行われた開腹手術、腹腔鏡手術の後ろ向き研究でも、「低侵襲手術の方が予後不良(有意差あり)」という結果が複数得られました。
ただし、ASCOで行われた報告では、「腫瘍の大きさが2cm未満であれば開腹手術と腹腔鏡手術で生存率に差がないだろう」とも結論付けられています。

2000~2010年の子宮頸癌患者の生存率をみると、2000~2006年までは徐々に生存率が上昇した一方、2006年以降、減少に転じました。
これは、2006年頃からアメリカで子宮頸癌の低侵襲手術が始まったことに起因するのではないかといわれています。


腹腔鏡下手術では、腹腔内のガスやマニュピュレーターにより、腫瘍が播種・圧出しないかという問題が残っています。
これらの問題について、次の2点が大切だと三上先生はおっしゃっています。
1. しっかりとコントロールして手術を行うこと
2. 手技について議論をすすめ、よいとされる手技にのっとって手術を行うこと


LACC trialの結果を受けて、日本でもさまざまな臨床研究が始まっています。また、今後追加調査や前向き試験も検討されているところです。
複数の学会や海外のグループと協力したうえで、日本では子宮頸癌に対する手術をどのように進めていくか議論していくことになるでしょう。

アメリカの婦人科腫瘍学会では、子宮頸癌の術式の選択について、次のようにお知らせを出しています。
「患者に対し、LACC trialの結果、自施設のデータを提示したうえで、患者の自主決定権を尊重し治療法について議論すること。」
日本でもどのようなお知らせを出すべきか、各学会で議論が進んでいるところです。