消化器系疾患、肝臓・胆道・膵臓疾患
経自然孔的標本摘出を用いた腹腔鏡下大腸がん手術

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【目次】
00:12~ イントロ
00:28~ 腹腔鏡下手術の意義
01:00~ 経自然孔的標本摘出(NOSE)とは
01:55~ 大腸癌手術におけるNOSEの現況
03:05~ NOSEの広がり
03:36~ 長岡中央総合病院におけるNOSEの実施
04:32~ 大腸癌に対する経肛門的標本摘出術(手術動画供覧)
08:38~ 盲腸癌に対する経腟的標本的摘出術(手術動画供覧)
12:45~ 長岡中央総合病院におけるNOSEの短期・長期成績
14:19~ NOSEについてのまとめ
14:42~ 理想のがん手術

腹腔鏡下手術の意義は、「術者のメリット(拡大視、巧緻性、操作性)」と「患者のメリット(低侵襲性、整容性)」の大きく2つに分けられます。今回は、患者のメリットの一つである「腹壁破壊縮小」を中心にお話しします。

「経自然孔的標本摘出」はNOSE(Natural Orifice Specimen Extraction)と略されます。自然孔とは、肛門や膣、口、尿道を指します。つまり、NOSEとは、大腸癌などの切除標本を腹壁の切開箇所からではなく、自然孔から取り出す手術方法のことです。
1993年から欧米で普及し、本邦では1998年に実施されていましたが、現時点ではあまり実施されていません。

腸癌手術におけるNOSE(経肛門)と通常腹腔鏡下手術を比較したRCT(短期成績)では、NOSEの方が疼痛・創感染が少なく、整容性に優れていることが報告されました。肛門機能については同等程度でした。
また、大腸癌におけるNOSE(経腟)と通常腹腔鏡下手術を比較したCase-matched studyでも、NOSEの方が疼痛が少なく、整容性に優れていること、腸管運動の回復が早いことが報告されました。

近年、NOSEは中国を中心に急速に広がっています。大小の国際大会が開催され、エキスパートの間でコンセンサスの形成が行われているところです。

長岡中央総合病院におけるNOSEは、TASE(経肛門的摘出)とTVSE(経腟的摘出)が実施され、それぞれの適応に応じて術式が選択されています。
講演では、それぞれの術式の手術動画が供覧されています。
    短期成績は、術後在院日数が6日で、合併症で再手術を要した症例は2例(1.3%)です。術後QOLは、通常腹腔鏡下手術と比較して、NOSEの方が優れているという結果が報告されています。
長期成績は、左側結腸癌においてはpStage 0-Ⅰで全例無再発、pStage Ⅱ,Ⅲで通常の腹腔鏡下手術と同等という結果でした。一方、右側結腸癌では、pStage Ⅲbで腹膜播種再発が2例ありました。吻合手技に起因する播種の可能性を否定できないため、慎重な適応と手技改善が望まれます。

理想のがん手術は、「根治的・安全・機能温存・無痛・整容性」が叶えられることですが、これをまとめると、患者さんにとっては「記憶に残らない」治療が理想なのかもしれません。この理想を追求できる手術方法の一つがNOSEであると考えます。