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withコロナ時代のPCI -part2-


筑波メディカルセンター病院 仁科 秀崇先生によるプレゼンテーションになります。

【目次】
00:16~ 2018年の診療報酬改定
00:46~ すでに時代は”with-Corona”
01:08~ ISCHEMIA試験で問われたこと
02:41~ ISCHEMIA試験の結果
03:06~ エンドポイントの重要性
04:37~ ISCHEMIA試験の1次複合エンドポイント
06:57~ ISCHEMIA試験の結果をまとめると
08:17~ コロナ禍でもPCIを待たない方がいい症例


日本の診療報酬は2018年に改定され、経皮的冠動脈ステント留置術は「心筋虚血が確認されていなければPCIを実施してはいけないことになっています。
ISCHEMIA試験は、中等度以上の虚血と診断されたケースを侵襲的戦略群と保存的戦略群に分けて、その後の経過を見た研究となっています。これは、虚血が証明された安定狭心症患者において、内科的治療は前提として行なった上で、初めから血行再建(侵略的戦略)と症状悪化やACS発症があれば血行再建(保存的戦略)という二つの戦略を比較した試験です。ISCHEMIA試験の結果、保存的戦略と侵略的戦略に有意差は認められませんでした。

研究においてエンドポイントは重要です。ハードエンドポイントとは、重篤で客観的に判定可能な、脂肪、心筋梗塞、脳卒中などです。一方、ソフトエンドポイントとは、狭心症や一過性脳虚血発作、冠血行再建などで、比較的軽症で主観によるバイアスが混じることがあります。

ISCHEMIA試験の結果をまとめると、 ①症状の改善が得られない、あるいは急性冠症候群を起こした時に血行再建を行うという保存的戦略を実施しても、侵襲的戦略と生命予後は変わらない
②自然発症の心筋梗塞は、数年の経過で保存的戦略群の方で多くなる
③PCIによる症状は改善するということです。

つまり、中等度以上の心筋虚血が証明されている安定狭心症患者に対しては「コロナが落ち着くまで待っていても大丈夫」と伝えることができます。
一方、「待たない方が良い」人もいます。
具体的には、薬物療法でも強い狭心症症状が頻回に起こる、左主幹部病変がある、心機能低下、心不全の既往がある人に対しては、初めから侵襲的戦略を取る必要があると考えられています。
また、急性心筋梗塞後の残存病変は治療をするべき、という結果も出ています。