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知っておきたい!日常診療でのめまい診断と治療の手引き Part3


【目次】
00:12~ 診断に迷う眼振(方向交代性背地性眼振)
04:41~ めまいの成り立ち・経過
07:25~ 横浜市立脳卒中・神経脊髄センターの取り組み(病態治療法の開発)

方向交代性背地性眼振は、良性発作性頭位めまい症の1つである「外側半規管型クプラ結石症」と小脳病変で見られます。
これらを鑑別するポイントは「方向交代の時間」です。プレゼンテーションでは、方向交代性背地性眼振の実例をビデオとグラフで示していただきました。

まとめると、急性発症のめまいは、1)めまい以外の神経症候の確認、2)眼振の確認の順番で鑑別を行うことが大切です。眼振の鑑別には「Video Head Impulse Test」を用いるのも有用です。

正常の場合、前庭の信号が前庭神経核から大脳皮質へ伝わります。前庭神経核の働きは小脳が調節しています。
例えば末梢前庭障害で片方の耳が障害されると、その側の前庭神経核も障害されます。これによって、反対側からの入力が過剰になってバランスがさらに悪くなります。これを解消するためには、過剰になった前庭神経核の働きを小脳が抑制する必要があります。これが「前庭代償」といい、末梢性めまいの原因です。
一方、中枢性前庭障害の場合、前庭代償を行う回路そのものが障害されるため、「前庭代償不全」が起こります。

末梢の前庭障害と中枢性前庭障害の両方が治ったとしても、大脳皮質におけるネットワークが変化することによって、「慢性めまい」が起こる可能性があります。

横浜市立脳卒中・神経脊髄センターでは、中枢性めまいの一つである「延髄外側梗塞」のメカニズムの解明に取り組んでいます。
延髄外側梗塞は、小脳と前庭神経核の中間あたりに起こる梗塞ですが、これによってめまいが起こるメカニズムは分かっていませんでした。
しかし、現在は「前庭神経核の直接障害ではなく、小脳からの脱抑制」が病態メカニズムであることが判明しています。
したがって、病態に基づいた治療法の考案することが出来るようになりました。現在は患者での効果を確認する段階まで来ています。
プレゼンテーションでは、具体的な病態の解説と治療メカニズムを説明していただきました。